「集客はポータルサイトとSNSがあれば十分」——そう考えて自社のホームページを持たずに運用している事業者は少なくありません。しかし、AI検索が広がりつつある今、ポータル依存には従来とは異なる角度からのリスクが生まれています。検索環境の変化は緩やかに進むため、気づいたときには対応が後手に回っている、ということにもなりかねません。
この記事では、ポータルサイト・SNSだけに依存する運用が、AI検索時代においてなぜ危ういのかを解説します。ホームページを持たないリスクについてはインスタだけで大丈夫?ホームページなし運用のリスク、飲食店における食べログ・ぐるなび依存については食べログ・ぐるなびだけに頼るのは危険?ポータルサイト依存から抜け出す方法で、それぞれ従来の観点から詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
従来のポータル依存リスクのおさらい
ポータルサイトへの依存には、掲載料・手数料の負担、競合と同じ土俵での比較にさらされること、ポータル側の規約変更に振り回されるリスクなど、以前から指摘されてきた課題があります。これらは今も変わらず存在するリスクであり、AI検索の広がりによって新たに追加された課題ではなく、あくまで既存のリスクに上乗せされる形で影響が生じている点に注意が必要です。
AI検索時代に加わる新しいリスク
AIが参照する情報源になれない
この課題は静かに進行するため、日々の売上や問い合わせ数の変化としてはすぐに気づきにくい点が厄介です。
AI検索は、Web上のさまざまな情報源を参照して回答を生成します。自社の情報がポータルサイトの1店舗としてしか存在しない場合、AIが参照する情報の主導権をポータル側に握られてしまい、自社の伝えたい強みが正確に反映されない可能性があります。
ポータル内の情報がAIの回答の「土台」になる
ポータルサイトに登録された簡易的な情報(営業時間や価格帯程度)だけがAIに参照される場合、本来伝えたい強みやこだわりが回答に反映されないまま、表面的な情報だけで比較されてしまうことがあります。
複数の情報源の中に「自社の言葉」がない
参照される情報源の選択肢を自ら増やしておくという発想が、これからの時代には欠かせません。
AI検索は複数の情報源を横断的に参照する性質があります。ポータルサイトの情報だけでなく、自社の言葉で書かれたホームページがあることで、AIが参照できる情報源の選択肢が増え、より正確な形で紹介される可能性が高まります。
ポータル側の情報がAIにとって「代表的な情報源」になるリスク
特定のポータルサイトへの掲載歴が長く、外部からの参照も多いサイトほど、AIにとって信頼度の高い情報源として扱われやすい傾向があります。自社の情報がポータル経由でしか存在しない場合、AIが参照する際にポータル側の表現や切り口がそのまま使われてしまい、自社が伝えたいニュアンスとずれた形で紹介される可能性があります。
SNSだけの場合も同様の課題がある
SNSの投稿は、時間とともに流れていく性質上、AI検索にとって「まとまった情報源」として参照しにくいという課題があります。投稿の中に有益な情報が散らばっていても、1つの情報源として認識されにくいことがあります。過去の投稿を遡って読み解くよりも、整理されたページを参照するほうが、AIにとっても効率的な情報収集になります。
ホームページが果たす役割
この視点を持てるかどうかが、今後の情報発信の分かれ目になります。
自社のホームページは、Web上における「自社の言葉で発信する唯一の場所」です。ポータルサイトやSNSがそれぞれの役割を持つ一方で、ホームページには、事業の強み・こだわり・実績を、自分たちの言葉でまとまった形で記載できるという他にはない特徴があります。AI検索がこうした情報を参照する情報源として機能するのは、多くの場合、事業者自身が管理するホームページです。
ポータル・SNS・ホームページの役割分担
1つの手段に頼りきるのではなく、それぞれの強みを活かした組み合わせを意識しましょう。
ポータルサイトやSNSを完全にやめる必要はありません。それぞれ、新規の認知を広げる役割、日々の発信を行う役割という強みがあります。その上で、詳しい情報や自社の言葉での発信を担う場所として、ホームページを並行して運用することが、AI検索時代における現実的な備え方です。
複数の情報源を持つことのリスク分散効果
ポータルサイトの規約変更やサービス終了、SNSのアルゴリズム変更など、外部プラットフォームに依存する情報発信は、自分でコントロールできない変化の影響を受けやすいという弱点があります。自社が管理するホームページを持っておくことは、こうした外部要因によるリスクを分散させる意味でも有効です。
今からできる備え
すでにポータルサイトやSNS中心で運用してきた場合でも、今からホームページを整備することは十分間に合います。まずは、ポータルサイトには書ききれない事業の背景やこだわり、具体的な実績を、自社の言葉でホームページに書き起こすことから始めてみましょう。一度にすべてを揃える必要はなく、優先度の高い情報から少しずつ充実させていく進め方で問題ありません。
ポータル依存からの脱却で見られる傾向
ホームページ制作のご相談に関わっていると、ポータルサイトやSNSだけで長く運用してきた事業者ほど、いざホームページを作る段階で「何を書けばいいか分からない」と戸惑うケースが見られます。ポータルの型に沿った情報発信に慣れているぶん、自社の言葉で語る訓練が不足していることが背景にあるようです。
よくある質問
Q. ポータルサイトの掲載をやめるべきですか?
A. やめる必要はありません。新規の認知を広げる役割は引き続き有効です。ホームページと並行して運用することをおすすめします。
Q. AI検索対策としてホームページに何を書けばいいですか?
A. 事業の強み、具体的な実績、こだわりのポイントなど、ポータルサイトの定型フォーマットには収まらない情報を、自分たちの言葉で書くことが基本です。
Q. 個人事業主でも同じことが言えますか?
A. はい。業種や規模を問わず、自社の言葉で発信する場所を持つことの重要性は共通しています。
Q. すぐに効果は出ますか?
A. AI検索・通常検索のどちらも、情報が蓄積・評価されるまで一定の時間がかかります。早めに着手し、継続的に情報を充実させていくことをおすすめします。
まとめ
早めの備えが将来の事業運営における確かな安心につながっていきます。焦らず着実に、一歩ずつ着実に進めていきましょう。ポータルサイト・SNSだけに依存する運用は、従来からの課題に加えて、AI検索時代には「自社の言葉で発信する場所がない」という新たなリスクを抱えることになります。ホームページを並行して整備し、複数の情報源から見つけてもらえる体制を作りましょう。
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