「補助金を使えば、ホームページはタダで作れる」——そんな話を聞いたことがある方もいるかもしれません。半分本当で、半分は誤解です。
2026年度は、ホームページ制作に関わる補助金制度がちょうど大きく再編されたタイミングです。名前が変わった制度、終了して後継に切り替わった制度が混在していて、古い情報のまま検索すると判断を誤りやすい時期でもあります。
この記事では、2026年度時点で使える主な制度を整理しつつ、小さなお店や個人事業主にとって「本当に使う価値があるのか」まで、正直にお話しします。
【結論の早見表】2026年度に使える主な補助金
| 制度名 | 補助上限 | 補助率 | HP制作の扱い |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 原則50万円(特例で最大250万円) | 2/3 | ウェブサイト関連費として対象。ただし上限30万円(税込)・単独申請不可 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 上限450万円(下限は申請枠により異なる) | 1/2〜4/5 | HP単体は対象外。ITツール導入とセットなら対象 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(旧:新事業進出補助金) | 最大9,000万円 | 1/2〜2/3 | 新事業の一部としてのサイト構築のみ対象 |
| 自治体独自補助金 | 10〜30万円程度(自治体による) | 1/2〜2/3程度 | 自治体により対象範囲が異なる |
※上記は2026年執筆時点の情報です。補助上限・補助率・公募スケジュールは変動します。申請前に必ず各制度の公式サイトでご確認ください。
小規模事業者持続化補助金——小さなお店の第一候補
小規模事業者(商業・サービス業なら従業員5人以下、製造業なら20人以下)が対象の、販路開拓のための補助金です。通常枠の補助上限は原則50万円、補助率2/3。インボイス特例や賃金引上げ特例を併用すると、上限が250万円まで広がるケースもあります。
ホームページの新規制作やリニューアルは「ウェブサイト関連費」として対象に含まれています。ただし、ここには2つの重要な制約があります。第17〜19回公募までは「交付申請額の1/4、かつ最大50万円」という基準でしたが、2026年の第20回公募からはウェブサイト関連費の上限が30万円(税込)に変更されています。古い情報のまま「上限50万円」だと誤解しないよう注意してください。
- ウェブサイト関連費には上限30万円(税込)の制限があります(第20回公募時点)
- ウェブサイト関連費のみでは申請できません——チラシ作成、展示会出展など、他の販路開拓施策と組み合わせて計画する必要があります
申請には商工会議所・商工会への事前相談と、事業支援計画書の発行が必要です。公募は年に数回あるため、早めに地域の窓口へ問い合わせておくとスムーズです。
なお第20回公募から、SNS広告やインターネット広告、動画制作費などは「ウェブサイト関連費」から「広報費」に区分が移動しています。ホームページ制作費そのものは引き続きウェブサイト関連費のままですが、見積書の費目でどちらに当たるか迷ったら、商工会議所の担当者に確認しておくと安心です。
公式サイト:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)——名前が変わりました
2026年度から、これまでの「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」へと名称変更されました。予算規模が大きく拡充され、AIツール導入への支援が強化されたのが主な変更点です。
注意したいのは、この制度でもホームページ単体の制作は補助対象外という点です。ここは名称変更後も変わっていません。ただし、予約管理システム、顧客管理(CRM)、ECサイトの決済機能といった、事務局に登録されたITツールと一体で導入する場合は、そのツールを組み込んだサイト構築が対象になるケースがあります。
また、この制度は「IT導入支援事業者」として登録された事業者と一緒に申請する仕組みになっているため、依頼予定の制作会社が登録事業者かどうかを事前に確認しておく必要があります。
公式サイト:デジタル化・AI導入補助金2026
その他の選択肢——新事業進出・ものづくり商業サービス補助金と自治体の独自補助金
コロナ禍を契機に生まれた事業再構築補助金は2025年3月の公募をもって終了し、後継として「中小企業新事業進出補助金」が実施されてきました。この制度は2026年に「ものづくり補助金」と統合され、現在は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という制度になっています。補助上限は最大9,000万円と規模が大きい一方、対象となるのは新市場への進出や業態転換に伴うサイト構築に限られます。補助額は企業規模や賃上げ要件などによって異なるため、実際にいくら使えるかは個別の確認が必要です。単に今のお店のホームページを作りたい、というだけの目的では使いにくい制度です。
※2026年6月に特設サイトが開設され、第1回公募がすでに始まっています。補助上限額や枠の詳細は今後も変更される可能性があるため、申請前に最新の公募要領をご確認ください。
公式サイト:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
このほか、自治体が独自にホームページ制作費を補助しているケースもあります。上限額や対象範囲は自治体ごとに大きく異なるため、「(お住まいの市区町村名) ホームページ 補助金」で検索し、地域の商工課や商工会議所に問い合わせてみるのが確実です。
参考までに、神奈川県には「神奈川県小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金」があります。この制度は珍しく、補助対象経費の区分に「ホームページ作成改修費」が明記されており、ITサービス導入費や機械装置等費と組み合わせることで、HP制作費用にも活用できます(HP費用単独での申請は不可、補助上限額や補助率は年度により異なるため要確認)。横浜市にも「中小企業デジタル化推進支援補助金」がありますが、こちらは設備投資・DX推進が中心で、HP制作費が明確な対象経費に含まれているわけではありません。
公式サイト:神奈川県小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金/横浜市中小企業デジタル化推進支援補助金
いずれも「ホームページ制作だけ」を目的にした制度ではなく、デジタル化・DX推進という広い枠組みの一部としてHP関連費用を認めている形です。「うちの地域にも専用の補助金があるはず」と探しすぎず、まずは持続化補助金や、お住まいの都道府県・市区町村のデジタル化支援制度の対象範囲を確認するのが近道です。
申請前に知っておくべき3つの現実
制度の説明だけでなく、実際に使う場合に見落としやすい点も正直にお伝えします。
- 一度は全額自己負担になります。採択されても、入金されるのは制作が完了し、報告を提出した後です。制作費は一旦全額、自分で立て替える必要があります。
- 交付決定前の契約・発注はNGです。「早く始めたいから」と交付決定を待たずに制作会社と契約してしまうと、その分は補助対象から外れます。最も多い失敗パターンです。
- 申請から入金まで時間がかかります。短くて4〜6ヶ月、長いと1年以上かかることもあります。事業計画書の作成にも相応の労力が必要です。
補助金を待つべきか、待たずに始めるべきか
ここまで読んで、「結局、自分は補助金を使うべきなのか」と迷った方もいると思います。判断基準はシンプルです。
数十万円規模の本格的なサイトを作りたいなら、補助金を使う価値は十分にあります。半分近い金額が戻ってくる可能性があるなら、事業計画書を書く手間や採択を待つ時間をかけても見合います。
一方で、「まずはお店の存在をきちんと示したい」「大きな予算はかけられないが、早く始めたい」という場合は、話が変わってきます。
サブスク型サービスに補助金は使える?
「うちで検討している月額制のホームページ制作サブスクに、補助金は使えますか」というご質問をいただくことがあります。正直にお答えすると、理屈の上ではゼロではありませんが、実務的にはあまり噛み合いません。
理由は3つあります。まず、補助金は「交付決定→事業実施→完了報告→入金」という、単発の制作を前提にした制度設計になっています。継続して料金が発生するサブスク型とは構造が合いません。次に、月額費用(サーバー代・保守費用を含む)は補助対象外になりやすく、対象にできるとしても初期費用の部分に限られます。そして、持続化補助金はウェブサイト関連費のみでは申請できず、他の経費との組み合わせや事業計画書の作成が必要です。数万円の初期費用のために、数十万円規模の制作と同じ事務手続きを踏むのは、労力に見合いません。
つまり、「補助金を使って本格的に作る」ことと「サブスクで手早く始める」ことは、そもそも別の道を選ぶ人のための、別の選択肢だということです。どちらが正解かは、目的次第です。
当社のサブスク型サービスは、初期費用15,000円+月額4,900円(税別)です。補助金の申請書類を準備する時間より早く、負担にならない金額で公開できます。まずは形にして、必要になったタイミングで本格的なリニューアルを補助金とともに検討する、という進め方もできます。
→ ホームページ制作のサブスクとは?メリット・デメリットと向き不向きを解説
まとめ
2026年度は、IT導入補助金がデジタル化・AI導入補助金へと名称を変え、事業再構築補助金が新事業進出補助金に切り替わった、制度再編の年です。使える制度は増えていますが、いずれも「ホームページ制作だけ」を目的にした制度ではなく、後払い・事前申請・事務手続きといった負担も伴います。
本格的に作るなら補助金、まず始めるならサブスク。目的に合わせて、無理のない道を選んでください。ご相談はどちらのケースでも承っています。
