求人媒体に掲載料を払っているのに応募が来ない、来ても続かない——人手不足に悩む飲食店からよく聞く悩みです。ここで見落とされがちな事実がひとつあります。応募を検討している人は、応募ボタンを押す前に、ほぼ必ずお店の名前で検索しているということです。
このとき、お店のホームページに働く場としての情報が何もなければ、応募者は判断材料のないまま離脱します。逆に言えば、自社ホームページの採用ページは、掲載料のかからない「応募前の最後のひと押し」として働きます。この記事では、飲食店の採用ページの作り方を解説します。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。
なぜ飲食店の採用にホームページが効くのか
応募者は「客として」ではなく「働く場として」お店を見に来る
求人媒体で興味を持った人が検索して見に来るのは、料理の写真ではなく、どんな人が働いているか、清潔な職場か、雰囲気は自分に合うか——働く場としてのお店の姿です。お客様向けのページしかないと、この視点の疑問には何も答えられません。
媒体のフォーマットでは伝わらないものを伝えられる
求人媒体の原稿は、時給・時間・待遇という条件の一覧に押し込められ、どのお店も同じ見た目になります。条件で並べられたら、体力のある大手チェーンに勝つのは困難です。個人店が勝負できるのは「この店で、この人と働きたい」という条件以外の魅力で、それを自由な形式で伝えられるのが自社ページです。
掲載料ゼロで、ずっと置いておける
求人媒体は掲載期間ごとに費用がかかりますが、自社の採用ページは一度作れば常設できます。「今すぐ採用したい」ときだけでなく、「良い人がいれば」という緩やかな募集を続けられるのは、自社ページならではの使い方です。急な欠員のたびに慌てて媒体に出稿する、という後手の採用から抜け出す土台になります。
求人ページに載せるべき内容
仕事内容と「1日の流れ」
「ホール・キッチンスタッフ募集」だけでは、働く姿を想像できません。出勤から退勤までの1日の流れ、ランチとディナーの忙しさの違い、最初に任せる仕事と慣れたら任せる仕事——時間軸で書くと、応募者は自分がそこで動く姿を具体的に想像できます。
待遇・シフトの「実際のところ」
時給や勤務時間は媒体と同じ情報でも、「シフトの希望はどのくらい通るのか」「まかないはあるのか」「土日どちらかは休めるのか」といった、面接で聞きにくいが誰もが気にすることに先回りして答えましょう。ここの正直さが、応募のハードルを下げます。
働く人の顔と声
店主やスタッフの写真とひと言(写真は多いほど良いが1枚からでも可)は、採用ページで最も効く要素です。「どんな人と働くのか」という最大の不安に、顔と言葉で答えられるからです。歴の浅いスタッフの「入る前は不安だったが」という声は、応募者に最も近い目線の情報になります。
ミスマッチを減らす書き方
良いことだけを書かない
「アットホームな職場です」だけの求人が信用されない時代です。金曜の夜は戦場のように忙しい、立ち仕事で体力は要る——大変さも正直に書いたうえで、それでも働く魅力を伝える。この順番で書かれたページは信頼され、入ってからの「聞いていた話と違う」という早期離職を減らします。採用の失敗で最も高くつくのは、採れないことではなく、すぐ辞めてしまうことだからです。
「来てほしい人」を具体的に描く
誰でも歓迎、と書くほど誰にも刺さりません。「飲食は未経験でも、人と話すのが好きな方」「将来自分の店を持ちたい方には、仕込みから経営まで見せます」のように、来てほしい人物像を具体的に書くことで、合う人の応募率と定着率が同時に上がります。
応募までの導線を軽くする
応募方法が「履歴書を持参」だけでは、興味を持った人の腰が重くなります。問い合わせフォームやLINEから「まず話を聞いてみる」「見学だけ」ができる一次連絡の窓口を用意し、返信の目安も書いておきましょう。応募のハードルを下げることは、母集団を増やす最も確実な方法です。あわせて、お客様向けページの雰囲気も応募者は見ているので、ホームページ全体の第一印象を整えることも採用対策の一部です(まだホームページがない場合は飲食店HP制作で挫折しない方法から始めてください)。
よくある失敗
「スタッフ募集中」の一行だけで終わっている
トップページの隅に募集中とだけ書かれていて、条件も連絡方法も分からない——これでは掲示していないのとほぼ同じです。1ページでよいので、この記事で挙げた内容を揃えた専用ページを作ってください。
募集していないのに、古い求人ページが残っている
締め切った募集が載ったままだと、問い合わせた人をがっかりさせるうえ、情報管理のずさんさが客側の印象にも響きます。「現在は募集していませんが、ご興味のある方はご連絡ください」に書き換えるだけで、将来の候補者との接点として活き続けます。
よくある質問
Q. 求人媒体はやめてもいいですか?
A. 併用をおすすめします。媒体は「探している人に見つけてもらう」入口、自社ページは「応募を決めてもらう」受け皿という役割分担です。SNSやマップと同じで、入口と受け皿は別物と考えてください(この構造はインスタだけ運用のリスクで解説した考え方と同じです)。
Q. お客様向けのホームページと同じサイトに求人を載せていいのですか?
A. 問題ありません。むしろ同居しているほうが、応募者はお店の雰囲気やメニューまで一度に確認できます。ページを分けて「採用情報」への入口をメニューに置く形が標準的です。
Q. 採用ページを作れば応募は来ますか?
A. ページ単体で応募が殺到するわけではありません。媒体・SNS・店頭の貼り紙といった入口から、検索して見に来た人を取りこぼさなくなる、というのが正確な効果です。入口と受け皿の両方が揃って初めて機能します。
Q. 学生アルバイトを採りたい場合のコツはありますか?
A. テスト期間や学業への配慮、シフトの柔軟さ、同世代のスタッフの存在を具体的に書くことが効きます。学生の応募は保護者の目線も通ることが多いため、職場の清潔感が伝わる写真も想像以上に重要です。
Q. 写真を載せられるスタッフがいません。
A. 店主の写真とメッセージだけでも十分に機能します。個人店の採用では「店主がどんな人か」が最大の判断材料だからです。スタッフの顔出しは、入社後に本人の同意を得てから少しずつ増やせば大丈夫です。
まとめ
飲食店の採用ページは、求人媒体の代わりではなく、応募直前の検索を受け止める受け皿です。1日の流れ・待遇の実際・働く人の顔を正直に載せ、軽い一次連絡の窓口を用意する。掲載料のかからない常設の採用導線として、一度整えれば長く働いてくれる資産になります。人手不足の時代は、お客様への発信と同じ熱量で「一緒に働く人への発信」をしているお店から、人が集まっていきます。
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