ホームページ制作費用をどの勘定科目で処理するかは、金額や制作内容によって「経費」か「資産(ソフトウェア)」かが変わります。最終的な判断は顧問税理士や税務署への確認が必要になるケースもあるため、この記事では基本的な考え方を整理してお伝えします。
なお、ホームページ制作の費用相場そのものについては別記事で解説しています。本記事では費用の相場ではなく「会計処理」という別の切り口で解説しますので、あわせてご覧ください。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。税制は改正される場合があるため、最新の内容は国税庁の公式情報や顧問税理士にご確認ください。
ホームページ制作費用は「経費」か「資産」か
国税庁の考え方では、ホームページ制作にかかった費用は、その内容によって次のように扱いが分かれます。
- 会社案内的な内容が中心のホームページ:広告宣伝費として経費計上できるケースが多い
- ショッピングカートや予約システムなど、プログラム部分の開発費用が含まれる場合:ソフトウェアとして資産計上し、減価償却が必要になるケースがある
つまり、同じ「ホームページ制作費用」でも、内容によって処理方法が変わるということです。
内容別に見る勘定科目の考え方
「経費か資産か」の分かれ目を、もう少し具体的に見てみましょう。ポイントは、そのホームページが「広告」として機能しているか、「プログラム(ソフトウェア)」として機能しているかです。
会社案内・集客が中心のホームページ
会社概要、サービス紹介、お知らせといった内容が中心で、随時更新されていくホームページは、広告と同じ性質のものとして「広告宣伝費」で処理されるのが一般的です。効果が長期間持続する資産というより、情報を発信し続けることで効果を保つもの、という考え方が背景にあります。
予約システム・ECなどの機能を持つホームページ
オンライン予約、ショッピングカート、会員ログインといった機能は、それ自体がプログラムの開発物です。この部分の制作費用は「ソフトウェア」として無形固定資産に計上し、耐用年数(一般に5年)で減価償却する扱いになるケースがあります。見積もりの段階でデザイン部分と機能開発部分が分けて記載されていると、後の処理がスムーズです。
判断が分かれやすい中間のケース
ブログ機能つきのサイトや、簡単なお問い合わせフォームだけのサイトなど、実務では「どちらとも言い切れない」ケースも多くあります。同じような構成でも、金額や利用実態によって判断が変わることがあるため、迷ったら見積書を持って顧問税理士に相談するのが確実です。
アルスビレで実際にご質問いただくケース
アルスビレにご相談いただくお客様の中にも、「ホームページ制作費用は全額その年の経費にできますか?」というご質問をいただくことがあります。多くの場合、会社紹介や集客が目的のシンプルなホームページであれば広告宣伝費として処理されるケースが一般的ですが、機能によって判断が分かれるため、顧問税理士に確認いただくようご案内しています。
少額の場合の取り扱い
取得価額が一定額未満の場合や、青色申告をしている個人事業主・中小企業向けの少額減価償却資産の特例など、税制上の特例が関わってくる場合もあります。金額の基準や適用条件は年度によって見直されることがあるため、最新の情報は国税庁の公式サイト(https://www.nta.go.jp/)や顧問税理士に確認することをおすすめします。
「支出のタイミング」も見落としがちなポイント
決算期の直前に制作を発注した場合、支払いは今期でも、ホームページの完成・公開が翌期にずれることがあります。費用をどの期に計上するかの考え方に関わるため、期をまたぐ発注では、契約日・支払日・納品日・公開日をそれぞれ記録しておきましょう。後から処理を確認する場面や、税理士に相談する場面で、正確な日付があるだけで話が早く進みます。
会計処理でよくあるつまずき
内訳のない「一式」見積もりのまま処理してしまう
「ホームページ制作一式 ○○円」という見積書だと、広告宣伝費にあたる部分とソフトウェアにあたる部分を区別する材料がなく、税務調査の際にも説明がしづらくなります。制作会社に依頼すれば内訳を分けた見積書・請求書を発行してもらえることがほとんどなので、契約前にひと言伝えておきましょう。
初期制作費と毎年の維持費を同じ扱いにしてしまう
サーバー代・ドメイン代・保守費用などの継続的な支払いは、初期制作費とは性質の異なる費用です。まとめて同じ処理をしてしまうと、年をまたいだときに費用の実態が見えにくくなります。継続費用は毎年同じ科目で一貫して処理するのが基本です。
よくある質問
Q. ホームページ制作費用はすべて経費にできますか?
A. 内容によります。会社紹介が中心のシンプルなホームページは経費(広告宣伝費)として処理されることが多い一方、予約システムなどのプログラム開発が含まれる場合は資産として減価償却が必要になることがあります。
Q. サブスク型のホームページ制作費用の会計処理は違いますか?
A. 月額料金として継続的に支払うサブスク型の場合、多くは都度の経費として処理しやすい形になります。ただし契約内容によって扱いが異なる場合があるため、顧問税理士にご確認ください。詳しくはサブスク型ホームページのメリット・デメリットでも解説しています。
Q. 減価償却が必要かどうかはどう判断すればいいですか?
A. 制作費用の内容や金額、事業の規模によって判断基準が異なります。判断に迷う場合は、国税庁の情報を確認したうえで、必ず顧問税理士に相談することをおすすめします。
Q. サーバー代やドメイン代はどの勘定科目になりますか?
A. 通信費として処理されるケースが一般的ですが、事業者によって支払手数料などで統一している場合もあります。どの科目を使うかより、毎年同じ科目で継続することが重要です。判断に迷う場合は顧問税理士に確認してください。
Q. リニューアル費用の扱いは新規制作と同じですか?
A. 基本的な考え方は同じで、内容が広告的であれば経費、機能追加であれば資産計上の検討対象になります。既存サイトの軽微な修正・更新であれば、修繕費などで処理されるケースもあります。金額が大きい場合は特に、事前に税理士へ相談しておくと安心です。
Q. 見積書や請求書はどれくらい保存しておけばいいですか?
A. 帳簿書類の保存期間は法人・個人で異なりますが、一般に7年程度の保存が求められます。ホームページ関連は、契約書・見積書・請求書をひとまとめにして保管しておくと、資産計上の判断や税務調査の際にすぐ説明できて安心です。
まとめ
ホームページ制作費用の勘定科目は、内容によって経費か資産かが分かれます。正確な判断には顧問税理士への確認が欠かせませんが、まずは大まかな考え方を知っておくことで、見積もり時の相談もスムーズになります。公開後にかかる月額費用については維持費の相場と内訳で解説しています。
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