確定申告の時期になって、去年の初めにホームページを作ったときの請求書を引っ張り出し、「これはどの欄に書けばいいんだろう」と手が止まった経験はないでしょうか。制作を依頼した時点では気にしていなくても、いざ申告書を書く段階になって初めて分からなくなる、というのはよくあることです。
この記事では、ホームページ制作費用の「勘定科目」そのものではなく、確定申告という実務のタイミングで何をすればいいかに絞って解説します。勘定科目や仕訳の考え方そのものについては別記事の勘定科目と仕訳の解説で詳しく扱っていますので、あわせてご覧ください。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに執筆しています。個別の判断は必ず税理士または国税庁の公式情報でご確認ください。本記事は税務助言を目的としたものではありません。
確定申告書のどこにホームページ制作費が出てくるか
青色申告決算書を使う個人事業主の場合、ホームページ制作費用は主に2つの場所に姿を現します。どちらに書くかによって、その年の所得の計算結果も変わってきます。
経費(広告宣伝費など)として処理する場合
会社案内や集客が目的のシンプルなホームページであれば、青色申告決算書の「経費」の内訳欄に、広告宣伝費として記載するケースが一般的です。この場合、支払った年の経費として、その年の所得からまとめて差し引くことになります。
資産(減価償却資産)として処理する場合
予約システムなど、プログラム部分の開発が含まれる場合は、無形固定資産として資産に計上し、決算書の「減価償却費の計算」欄に記載したうえで、複数年に分けて経費化していく必要が出てきます。この場合、確定申告書には1年分の減価償却費だけが反映され、支払った金額の全額がその年の経費になるわけではない点に注意が必要です。
確定申告までに準備しておきたい書類
申告の直前になって慌てないために、日頃から整理しておきたい書類があります。
制作会社からの請求書・領収書
支払った金額と日付が分かる書類は必ず保管しておきましょう。特に、初期費用と月額費用が分かれているサブスク型の契約では、どの支払いがいつ発生したものかが分かる状態にしておくことが、申告時の混乱を防ぐポイントです。
契約内容が分かる資料
見積書や契約書など、何にいくら支払ったのかの内訳が分かる資料も残しておきましょう。特に、制作費用の中にドメイン代やサーバー代が含まれているのか、別契約になっているのかは、処理を分ける上で重要な情報になります。この点はドメイン代・サーバー代の勘定科目の記事でも解説しています。
確定申告の実務でよくあるつまずき
相談の中でよく見かける、タイミングのずれによる混乱を2つ紹介します。
支払った年と公開した年がずれるケース
年末に契約・支払いを済ませ、実際の公開は年明けになった、というケースは珍しくありません。この場合、経費として計上すべき年は「支払った年」なのか「公開して使い始めた年」なのかで判断が分かれることがあります。判断に迷う場合は、自己判断で処理を確定させず、税理士に確認したうえで申告することをおすすめします。
途中でプランを変更した場合の扱い
サブスク型の契約で、年の途中でプラン変更やオプション追加があった場合、月ごとの支払額が変わることがあります。この場合も、変更前後の請求内容が分かる資料を保管しておくことで、申告時の内訳確認がスムーズになります。
サブスク型ホームページの場合の申告実務
月額料金で継続的に支払うサブスク型のホームページ制作費用は、多くの場合、都度の経費として処理しやすい形になります。ただし、初期費用部分の扱いは契約内容によって異なるため、個別の判断が必要です。サブスク型特有の勘定科目の考え方はサブスク型ホームページの月額費用の会計処理の記事で詳しく解説しています。
確定申告書への記入をイメージした2つのケース
実際の申告書のどこに数字が入るのか、具体的なイメージを持てるよう、よくある2つのケースで違いを整理します。
ケース①:会社紹介中心のシンプルなホームページ
制作費用を広告宣伝費として処理する場合、青色申告決算書の経費内訳欄にある「広告宣伝費」の行に、支払った金額をそのまま記載します。特別な計算は必要なく、他の広告費用(チラシ代やSNS広告費など)とまとめて合算して記載するケースが一般的です。
ケース②:予約システムを含む機能追加型のホームページ
資産計上が必要になる場合は、まず「減価償却費の計算」欄に、取得価額・耐用年数・当年分の償却費といった項目を記入する必要があります。そのうえで、計算した当年分の償却費だけを経費の内訳欄に転記する、という2段階の作業になります。ケース①と比べて記入する項目が増えるため、初めての場合は特に、事前に必要な数字(取得価額・取得年月・耐用年数)を整理しておくと申告時の作業がスムーズです。
確定申告に向けた個人事業主の年間スケジュール
ホームページ制作費用に限らず、経費の整理は確定申告の直前ではなく、日頃からの積み重ねが負担を減らします。制作費用の支払いが発生した月に、請求書・領収書をその場で1か所にまとめておく習慣をつけておくと、年明けにまとめて探す手間がなくなります。一般的に確定申告の期間は2月中旬から3月中旬とされていますが、この期間に慌てて資料を探し始めると、内容の確認や税理士への相談に十分な時間を取れなくなることがあります。年内、遅くとも年明け早々には、その年に発生したホームページ関連の支出を一覧にまとめておくことをおすすめします。
アルスビレでのご相談傾向
アルスビレにご相談いただく個人事業主の方の中にも、契約時点では会計処理をあまり意識しておらず、確定申告の時期になって初めて「これはどう書けばいいのか」とご質問いただくケースが一定数あります。特にサブスク型の契約では、初期費用と月額費用が別々に発生するため、決算書上でどう分けて記載すればよいか迷われる方が多い印象です。契約時に発行される請求書の内訳を保管しておいていただくと、申告時の確認がスムーズになるとご案内しています。
よくある質問
Q. ホームページ制作費用の領収書は何年保管すればいいですか?
A. 青色申告の場合、帳簿や書類の保存期間は原則として7年とされています。詳細な条件は国税庁の公式情報でご確認ください。
Q. 白色申告でも経費として計上できますか?
A. 白色申告でも、事業に必要な支出であれば経費として計上できます。ただし帳簿の作成方法や保存すべき書類が青色申告と異なる部分があるため、詳細は国税庁の公式情報や税理士にご確認ください。
Q. 確定申告ソフトにはどの科目で入力すればいいですか?
A. 多くの確定申告ソフトでは「広告宣伝費」や「減価償却費」といった科目が用意されています。処理方法が決まったら、その内容に沿った科目を選択してください。判断に迷う場合は税理士に相談することをおすすめします。
Q. 税理士に頼まず自分で申告しても問題ありませんか?
A. 自分で申告すること自体は可能ですが、資産計上が必要なケースなど判断が分かれやすい支出については、誤った処理をしてしまうリスクもあります。不安がある場合は税理士に相談することをおすすめします。
まとめ
ホームページ制作費用を確定申告書のどこに書くかは、経費か資産かという処理方法によって変わります。支払った請求書や契約内容が分かる資料を日頃から整理しておくことで、申告時期になって慌てる場面を減らせます。正確な判断が必要な場合は、必ず税理士または国税庁の公式情報をご確認ください。
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